朱色の塔/I.アルベニス

■朱色の塔/イサーク・アルベニス
■Torre Bermeja/Issac Albéniz


スペインの作曲家/ピアニストのイサーク・アルベニス(Isaac Albéniz,1860~1909)作曲のピアノ独奏曲集「性格的小品集」Op.92の中の1曲です。
「朱色の塔」とはグラナダのアルハンブラ宮殿の西にある古い塔の事とも、カディス県の海岸にある遺構だともいわれています。
いずれにせよ過ぎ去った時代への追憶や憧憬を感じさせるロマンあふれる1曲です。
速い3連符のアルペジオに彩られた物悲しいスペイン的な旋律が印象的な前半と、過去の栄光の時代を表現したような後半の2部形式で書かれています。
ここではドイツのギタリスト、トーマス・ミュラー・ぺリングの編曲に基づいて演奏していますが、何か所か変更しています。

この素晴らしき世界/G.ダグラス,G.D.ワイス(鈴木大介編)

■この素晴らしき世界/G.ダグラス,G.D.ワイス(鈴木大介編)
What a Wonderful World/George Douglas,George David Weiss

ジャズミュージシャンのルイ・アームストロングの歌で有名な世界的なスタンダードナンバー。
ベトナム戦争のさなかの1967年に作られた曲であり、「この素晴らしき世界」というタイトルには、戦争のない平和な世界を願う思いが込められています。
今回取り上げた鈴木大介氏によるギターソロバージョンは、ギタリスト福田進一氏のリリースした小説「マチネの終わりに」とのタイアップCDにも収録されています。
このアレンジの楽譜は現代ギター誌の2019年3月号に掲載されていました。

セレナーデ/F.シューベルト(メルツ編)

セレナーデ/フランツ・シューベルト(J.K.メルツ編)
Ständchen/Franz Schubert(arr.J. K. Mertz)

フランツ・シューベルト(Franz Peter Schubert、1797~1828)の没後に出版された遺作集『白鳥の歌』に収録された歌曲で、シューベルトの歌曲の中でももっとも有名な作品の一つです。
「セレナーデ」とは中世ヨーロッパから続く伝統を持つ、夜に恋人の家の外で歌われる愛の歌ですが、シューベルトのこの作品も恋人への想いを情熱的に歌い上げる歌詞が付けられています。
この動画ではシューベルトとほぼ同時代のギタリスト、ヨハン・カスパール・メルツ(Johann Kaspar Mertz、1806~1856)による編曲で演奏しています。セレナーデは伝統的にギターやリュート、マンドリンなどで演奏されていた歌曲なので、この作品もギター編曲に合ってっているように感じます。

「ラプラタ川の3つの小品」より「ドン・フリアン」「9月」「赤と黒」/M.D.プホール

アルゼンチンのギタリスト/作曲家のマキシモ・ディエゴ・プホール(1957~)の作品です。。
プホールはアベル・カルレバーロに学んだクラシックギタリストですが、アストル・ピアソラやタンゴなどのアルゼンチン周辺の音楽に強い影響を受けたギター作品を数多く作曲しています。
ラプラタ川はアルゼンチンとウルグアイに挟まれた水域で、その周辺ではタンゴ、ミロンガ、カンドンベなどの音楽様式が発生しました。
プホールのこの「3つの小品」もそれらの音楽の要素を巧みに取り入れています。

◆「ラプラタ川の3つの小品」よりⅠ.ドン・フリアン/マキシモ・ディエゴ・プホール
Tres piezas rioplatense Ⅰ Don Julián /Máximo Diego Pujol

ピアソラなどのモダンタンゴの雰囲気が色濃い作品。アクセントが効いたタンゴのリズムの第1部と物憂げなメロディの第2部の2部構成になっています。

◆「ラプラタ川の3つの小品」よりⅡ.9月/マキシモ・ディエゴ・プホール
Tres piezas rioplatense Ⅱ.Septiembre/Máximo Diego Pujol

ミロンガ・カンペーラ(田舎のミロンガ)の雰囲気を持った牧歌的な1曲。
中間部では再びタンゴのリズムが少し現れます。

◆「ラプラタ川の3つの小品」よりⅢ.赤と黒/マキシモ・ディエゴ・プホール
Tres piezas rioplatense Ⅲ.Rojo y negro/Máximo Diego Pujol

ウルグアイの黒人音楽が起源となったカンドンべのリズムが使われています。
カンドンべはタンゴの誕生に影響を与えたといわれています。
打楽器的な特殊奏法も使用されたユニークな作品。

夢/橋爪皓佐(現代ギター2019年8月号より)

■夢~ロベルト・シューマン讃/橋爪皓佐
Traum Hommage à Robert Schumann/Kosuke Hashizume


大阪在住のギタリスト/現代作曲家の橋爪皓佐の作品で、現代ギター2019年8月号に掲載されています。
連作「ギターのための12の賛歌(オマージュ)」の中の1曲で、シューマンの「トロイメライ」をモチーフにしているそうです。
独特の宙に浮かぶようなアクセントや和声が幻想的な雰囲気を生み出しています。
橋爪氏には当ホームページのコラムでインタビューさせていただきました。
合わせてお読みください。

→作曲家・ギタリスト橋爪皓佐《関西クラシックギターの挑戦者たち④》

ベンタロン/P.マフィア《タンゴ・グレリオMV》

【演奏】(タンゴ・グレリオ)バンドネオン/星野俊路&ギター/米阪隆広
【録音・撮影】海井之善(オフィスマリオネット)
【ロケ地】大阪天満フラットフラミンゴ、大阪淀屋橋周辺

バンドネオン&ギターDuoタンゴ・グレリオのミュージックビデオを第2弾です。
「ベンタロン」は高度なバンドネオン奏法をあみだして、そ後のバンドネオンの技術の発展に大きな影響を与えた ペドロ・マフィアの代表作です。
タイトルのVentarrón(強風)とは歌詞に出てくるならず者の通り名。
・・・ベンタロンは色男で腕っ節も強かったが、やがて夢破れて落ちぶれてしまう。
時が流れて場末に戻ってきたが、もはや彼の昔の名声を知るものはいない・・・という苦い内容です。

プレリュード第1番、第3番/H.ヴィラ=ロボス

■Prelude No1/Heitor Villa-Lobos
プレリュード第1番/エイトル・ヴィラ=ロボス

ブラジルを代表する作曲家の一人であるエイトル・ヴィラ=ロボス(Heitor Villa-Lobos 1887~1959)作曲の「5つのプレリュード」の1曲。
5つのプレリュードはヴィラ=ロボスのギター独奏曲の中では最後となる作品で1940年に完成しました。
ヴィラ=ロボスは自らもギターを弾いていただけあってギターの響きや特性を生かした作品が多いですが、このプレリュード第1番も細かい装飾的な伴奏の中で朗々と響くギターの低音弦が、チェロのような独特の音色を作り出しています。
後に出版された版ではこの第1番に『セルタン(ブラジル北東部の乾燥地帯)の住人へのオマージュ~抒情のメロディ』という副題が付けられていることもありますが、作曲者の意図かどうかは不明です。(ヴィラ=ロボス自身の談話にもとづいているとも言われています)


■Prelude No3/Heitor Villa-Lobos 
プレリュード第3番/エイトル・ヴィラ=ロボス

こちらは「5つのプレリュード」より第3番。前述の版には『バッハへのオマージュ』という副題がついています。

ポル・ウナ・カベサ/C.ガルデル《タンゴ・グレリオMV ゲスト:松本尚子(Vn)》

【出演】(タンゴ・グレリオ)バンドネオン/星野俊路&ギター/米阪隆広、バイオリン/松本尚子
【録音・撮影】海井之善(オフィスマリオネット)
【ロケ地】大阪天満フラットフラミンゴ、大阪中之島周辺

バンドネオン&ギターDuoタンゴ・グレリオのミュージックビデオを作成しました。
バイオリン奏者の松本尚子さんにゲスト出演していただいています。
演奏している作品はタンゴの名歌手カルロス・ガルデルの『ポル・ウナ・カベサ(首の差で)』。
タイトルは競馬で「首の差でレースに負けてしまった」というような意味ですが、そこに引っかけて女性をめぐる恋のさや当てにあと一歩で敗れた男の心情が歌われています。
もっとも有名なタンゴ曲の一つで『セント・オブ・ウーマン』などの映画で使用されたほか、時にはフィギュアスケートでも使用されています。

ギター&クラリネット二重奏「美女と野獣」


美女と野獣/アラン・メンケン
Beauty and the Beast/Alan Menken

1991年のディズニーのアニメ映画『美女と野獣』のテーマ曲で、主人公ベルと野獣のダンスシーンでポット夫人によって歌われています。
作曲者のアラン・メンケンは多くのディズニー映画の作曲を手がけており、この『美女と野獣』の外、『リトル・マーメイド』、『アラジン』、『ポカホンタス』でアカデミー賞を受賞しています。
様々なバージョンで演奏されている世界的なスタンダードナンバーですが、ここでは上堂尚子(クラリネット)、米阪隆広(ギター)による二重奏でお聞きください。

【ギター2重奏】ロ・ケ・ベンドラ(来るべきもの)/A.ピアソラ


■ロ・ケ・ベンドラ(来るべきもの)/アストル・ピアソラ
Lo que vendrá/Astor Piazzolla
演奏:井谷光明、米阪隆広

1954年のピアソラの初期の作品。Délia Estrada編のギター2重奏版で演奏しています。
タイトルは来たるべき新しいタンゴの時代を意識して付けられているようです。
短い前奏の後の力強いシンコペーションのリズムは、後のピアソラの作品にも通じる斬新さを感じさせます。
もともとロ・ケ・ベンドラは1952年の別のタンゴのタイトルでしたが、「来たるべきもの」という言葉のイメージが時のペロン政権打倒を連想させるとして、「コントラティエンポ(災難)」というタイトルに改題。後にこの作品にロ・ケ・ベンドラのタイトルが再び付けられるという少々ややこしい経緯があったようです。