タンゴ・グレリオ2ndCD『EPOCA PIAZZOLLANA~ピアソラの時代』よりバンドネオン・ソロをお楽しみください。
「アディオス・ノニーノ」は1959年、ピアソラが経済的にも音楽的にも悩んでいたニューヨークでの不遇の時代の作品。敬愛していた父ビセンテ(愛称ノニーノ)の突然の訃報を聞いて衝撃を受けたピアソラは、アパートの一室にこもり、やがてこの曲を作曲し始めたと言われています。
リズミカルで激しいパートは以前に父にささげた作品「ノニーノ」からの流用ですが、そこに鎮魂歌を思わせる美しいパートを新たに付け足し、2つの異なる主題の対比が、激しい慟哭と父への愛情を浮かび上がらせています。
この作品の作曲後、翌1960年にアルゼンチンに帰国したピアソラはそれまでの迷いを振り切るように、さらに前衛的な活動を精力的に展開していきました。ピアソラにとっても転機になった彼の代表作ともいえる名曲です。