前々からギター二重奏で演奏したかったアストル・ピアソラの「Escolaso(ばくち)」と「ウィスキー」の二曲を一念発起して採譜してみました。
このデュオアレンジはブラジルのスーパーギターデュオ「セルジオ&オダイル」アサド兄弟によるもの。(Sergio & Odair Assad)
名アレンジなんですが、いろいろ調べてみても出版はされていない(しかも35年前の編曲!)ので、CDの演奏をもとに自分で採譜してみました。
聞き取りにくい部分もあるので、ピアノ譜と照らし合わせながら類推する部分もあります。
もともとこの2曲はピアソラの1975年の作品『トロイロ組曲』の一部。実はバンドネオン&ギターデュオで組曲のうちの「バンドネオン」と「シータ」はすでに演奏しているので、これで組曲コンプリートということになります。(「バンドネオン」「シータ」はCD『ピアソラの時代』に収録しているのでぜひお聞きください!
このアサド兄弟による演奏は実は非常に重要な意味があります。
1983年パリで彼らの演奏する「Escolaso(ばくち)」を聴いて感激したピアソラは、翌1984年クラシックギター二重奏の重要なレパートリーである『タンゴ組曲』を彼らに捧げました。
作曲時に「あまりにも難しすぎるのでは」と心配になったピアソラはギタリストのオスカル・ロペス・ルイスに相談しましたが、「彼らほどのヴィルトゥオーソ(達人)なら演奏できるだろう」と太鼓判を押されて安心したというエピソードもあります。
アサド兄弟の編曲ということで演奏難易度は高いですが、幸い弾いてくれるギタリストも見つかったのでいずれ演奏できそうです。
このように意外と弾きたいけど楽譜が出版されていないという曲が、特に中南米の作品には多いんですが、採譜するにもだいぶ慣れてきました。
かなり地道な作業ですが、楽譜や音楽を理解するには実はとてもいい勉強になるのでないかと思っています。
またギターは運指によって演奏難易度や音楽性が変わるので、そのあたりも類推しながらの採譜となり、楽曲やギター奏法の理解度も自然に上がる気がします。